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  • 三重県の鳥「シロチドリ」

    三重県の花はハナショウブだとご存じの方も、鳥については案外知らない方が多いかもしれませんが、三重県のシンボルの鳥として、1972年(昭和47年)6月に、県民投票でシロチドリが選ばれています。切手の図柄にも夫婦岩と一緒に描かれています。三重県警のマスコットキャラクター「ミーポ」もシロチドリ。三重県立水産高校の練習船の名前も「しろちどり」です。
       
        写真提供:白塚の浜を愛する会
    春から夏の繁殖期以外は、群れをなして行動をする様子から「千鳥」の名がついたと言われ、古くから「浜千鳥」の名で親しまれています。有名なのは、♪蒼い月夜の浜辺には・・・・・♪。そういえば、津都ホテルにある日本料理店の名前も「浜千鳥」ですね。
    シロチドリは、首の黒い輪が胸で途切れているので、他のチドリの仲間と区別することができます。

    シンボルの「シロチドリ」が絶滅の危機
    シロチドリの大きさは17.5cm程で、スズメより少し大きいくらい。北海道から沖縄までほぼ全国的に分布し、三重県では1年を通して見ることができますが、浜や干潟が少ない熊野灘沿岸より、伊勢湾沿岸の砂浜のある海岸に多く生息しています。伊勢湾は内湾のために波が穏やかで、特に河口の干潟にはエサになる多く種類の生き物が集まるので、シロチドリにとってすみやすい場所となっています。
    ところが近年、伊勢湾の海の汚染や砂浜の減少によって、シロチドリの生息場所が狭くなり、個体数が減少してしまい、今や三重県のレッドデーターブックにも記載され、絶滅の危機に瀕しています。レッドデーターブックには、絶滅危惧の度合いが高い順に記載されていますが、シロチドリは鳥類69種の中でなんとトップページに記載されています。更に、昨年2018年3月には、三重県希少動植物種に指定された貴重な鳥です。

           浜辺で休むシロチドリ 写真提供:日本野鳥の会三重


    シロチドリの子育てを見守る「白塚の浜を愛する会
    広い砂浜を有する津市の白塚海岸では、毎年シロチドリの営巣が確認されています。繁殖期の春先になると、オスが砂地のやや高い場所に、浅いくぼみに貝のかけらや小石を少しだけ敷いた簡単な巣を作ります。メスが通常3個の卵を産み、3週間程度抱卵します。オスも抱卵に加わり、メスが抱卵しているとき、大抵オスは近くで警戒しています。
    抱卵中の巣にイヌやヘビ、ヒトなどの外敵が近づくと、親鳥は巣から離れた場所に移動して逃げますが、外敵が長く巣に留まって、じきに戻って来られない状況だと、そのまま抱卵を放棄してしまう結果になることもあります。無事に生まれたヒナは、すぐに巣を離れて親鳥からエサの取り方を教わり、3週間ほどで飛べるようになります。

    毎月第3日曜日に白塚海岸の清掃活動を行っている「白塚の浜を愛する会」では、シロチドリがこれ以上減少しないよう、3月にはシロチドリが営巣する砂地を覆っている細かい流木などを除去したり、4月には海岸に遊びに来たり散歩したりする人に対して、無事に子育てが終わるまでの間、巣に近づかないよう、また犬にはリードを付けてくださいと呼び掛ける手書きの看板を作成して、砂浜への出入り口付近など6ケ所に設置しました。
    卵は保護色であり、巣を見つけるのは非常に難しいので、うっかり私たちが気が付かない間に驚かせたり、はたまた巣や卵を踏みつけたりしてしまうことも多々あるようです。その日は営巣場所を確保しやすいように外来植物などの草引きもしましたが、早速3ケ所に巣を見つけたので、急いで遠くに離れ、早々に作業も切り上げました。
     

    元のように数が増えて、いつまでも三重県を代表する鳥であってほしいですね。

    <おまけ> 
    通常、鳥の足には後ろにも支える親指がありますが、チドリの指は親指が退化して前3本しかなく、地上を早く歩き易いようになっています。まるでファッションモデルのように左右の足を一直線上に歩きますが、スピードを出して浜を走っては急停止したり、突然方向を変えたりするシロチドリの姿は実にユニークです。そうやって砂浜にいる昆虫・クモ類、トビムシなどのエサを急襲します。引く波を追いかけて砂に隠れるヨコエビを捕ったりもします。このように左に行ったかと思うと止まって今度は右にといったように、ジグザグと進むことから、「千鳥足」の語源になったようです。でも足取りはしっかりしていて、決して酔っぱらいのようにフラフラしているわけではありませんよ。

    (参考:「三重の文化」、「30年版三重県レッドデーターブック」)
    (協力:三重県立総合博物館、日本野鳥の会三重、三重県みどり共生推進課)

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